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アングル:コアCPIは1%で頭打ち、原油下落の影響本格化へ
[東京 30日 ロイター] - 消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は当面、1%の上昇で頭打ちになる可能性が高くなっている。今年10月以降、原油価格が下落し、これまで物価上昇を支えてきたガソリン価格などに影響するためだ。日銀は物価上昇率2%を目標として金融緩和政策を継続しているが、ますます「ゴール」が遠ざかり、難しい政策運営を迫られそうだ。
30日発表の11月の東京都区部コアCPIは前年同月比1.0%の上昇で、3カ月連続して上昇幅は変わらずだった。ただ、中身をみると、ガソリンの寄与度が0.12から0.08に低下し、原油価格下落の影響が出始めている。
火力燃料(原油・液化天然ガス・石炭)の価格変動を電気料金に反映させるために毎月電気料金を調整する「燃料費調整額」は、3―5カ月のタイムラグで電気代に影響する一方、ガソリン代や灯油には1―2カ月で効いてくる。
電気料金は来年1月も値上げが続くが、ガソリンの寄与度低下で「消費者物価に対するエネルギーの寄与度は弱まってくる」(総務省の担当者)ことになる。東京都区部に比べて全国の方がエネルギーのウエートが高いため、原油価格下落の影響をより受けやすい。
SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は「コアCPIの伸びは10―11月で頭打ちになるだろう。原油安の影響が本格化するタイミングは12月以降だ。12月のコアCPIは前年比0.7―0.8%前後の上昇へ伸びが鈍化するだろう」と予想する。
「春先には下落懸念があったが、夏ごろからコアコアCPIはしっかりしてきた」と日銀幹部が話すように、全国のコアコアCPI(除く生鮮食品・エネルギー)は、6月の0.2%上昇を底に8月には0.4%上昇へと伸び率が拡大した。しかし、10月まで3カ月連続で0.4%が続くなど、上昇に勢いが付く気配はない。
第一生命経済研究所主席エコノミストの新家義貴氏は「原油価格を主因としてコアCPIが伸び率を低下させたとしても、コアコアCPIが順調に伸びていくのであれば、日銀が物価は改善傾向と主張することも可能だろう」と分析。
その上で「コアコアの伸びすら鈍化していくようなことがあれば、日銀の説明はかなり苦しいものになってくるだろう。現状では、突然強まることは考えにくく、労働需給のひっ迫が賃金を押し上げ、物価に波及するという経路を待つしかない」と話している。
(清水律子 編集:田巻一彦)